冬の旅
普段はまったく聴かないが、この時期になると一回だけは聴くCDがある。シューベルトの歌曲集「冬の旅」である。「クラシックも聴かないわけではないのでけれど…」程度なのに、毎月カタログが送られてくるCDの通販“ソニーCDクラブ”で記号の入力を間違って注文してしまい、そのまま返品せずにCDラックに納まってしまった盤だ。

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ドイツのバリトン、ヘルマン・プライの独唱。ピアノ一本の伴奏で淡々と湿り気をおびた歌が続く。

「冬の旅」は知っていたが、ヘルマン・プライなど知るはずもない。TV映画コンバットのサンダース軍曹役、ビッグ・モローに似たこの名バリトンは、このCDを手に入れた10年ほど前はNHK BS2で喜歌劇「こうもり」や「冬の旅」独唱などでちょくちょくブラウン管にも顔を出していて(偶然に彼を知っただけなのに)木を見て森を知った気になる私は、TVでみつけると「あ、プライだ!」などといっぱしの口を利いていた。

「冬の旅」はヴィルヘルム・ミュラーの詩にシューベルトが曲をつけたものであるが、産業革命後の職人制度の崩壊(は同時に旅職人の消滅)によってそれまで欧州人の持っていた旅心(さすらい)への郷愁と、シューベルト自身が不治の病に犯され、将来への絶望感がない混ぜになって、あの美しくも悲しい作品になったのである(もちろんライナーノーツの受け売り!!)。

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聴く場所は決まっている、冬空の車の中だ。およそドライビングミュージックと程遠い楽曲だが、圧雪路を一人で飛ばしているときは19世紀初頭のヨーロッパの旅人の気分になれる。圧雪路は思いのほか静かでエンジンの音とボディの風切音のみが聞こえ、静かな音楽がしみこむ。2人で聴いてはだめだ、必ず退屈する(はず)。

もっとスピードを出したかったが、数年前、雪道を飛ばしすぎコントロール不能になった記憶がよぎりアクセルをゆるめる…

「車の運転は、男がズボンを履いて行う最もエキサイティングな行為だ!」と、嘯いていた頃が懐かしい(?)
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by ara_umi | 2005-12-20 21:22 | 今日は音楽の話 | Comments(2)
Commented by わっつ at 2005-12-20 23:22 x
初めまして。時たま拝見させていただいてます。
私の故郷も新潟。寺尾です。実家の裏は海です。
このブログを見ると、帰巣本能が刺激されます。
元々GR1ユーザーでしすが、ようやくボーナスでGRデジタルを購入したので色々撮影に挑戦しようかなと。
とにかく、故郷の様子がわかるのでこれからも拝見させていただきます。
Commented by ara_umi at 2005-12-21 08:05
わっつ さま、ありがとうございます。このブログを見てくれている人が何かを感じてくれることは更に喜びです。これからもよろしくお願いします。

全国的に寒く、この時期としては記録的に雪も降っていますが、新潟は大雪まではいっていません。ただ久々にホワイトクリスマスにはなりそうな気配です。
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