「蚤虱 馬の尿する 枕もと」(のみしらみ むまのばりする まくらもと) と『おくのほそ道』で松尾芭蕉が詠んだのは、鳴子(宮城県)から境田(山形県)に抜ける尿前の関(しとまえのせき)あたりでのことらしいが、この日業界団体のある調査隊に混じって、やはり『おくのほそ道』で芭蕉が通ったであろう越後村上の手前の猿沢という集落でのある民家の調査に向かう途中見つけた、廃屋に打ち付けられた使い古しの馬蹄のフックが妙に気になる。
この日調査に伺った、昭和15年にあった集落の大火のあと建てられたというその古民家にもかつては母屋の中に厩(うまや)があり、人と家畜が一緒に寝起きをしていたという。しかも小便所はその厩の中にあったとか(厩と厠は字が似ている…当時の農家の大便所は屋外)。
この集落の調査に行くと聞いて、『おくのほそ道』のことはまったく意識になかったが、帰ってきてブログで取り上げるときに蹄鉄と、厩と、芭蕉が繋がったようで嬉しかった。 我が家にある『おくのほそ道をゆく』(写真・植田正治 文・黒田杏子)という本の中で植田正治が「蚤虱… 」の句の場面で選んだ写真が朽ち果てた塗り壁の画だったことも壺!







〔 GR DIGITAL II ・ R-D1s / ULTRON 28mm F1.9 AL 〕