新潟のフォトブロガー7名による写真展『私たちのまなざしとその記憶』も千秋楽から2週間、お盆休みもとっくに終わり日々の仕事に流されながら思い出しますと、ずいぶん昔の事のようにも思えてきます。 そんな中でも自分の展示について終わってからあれやこれやと考えたわけです。 美しいプリントや迫力の構成で観る者を圧倒した他のメンバーの展示には開催中から溜め息モノでイチ観客として魅入っていたのですが、特にドラマチックカメラのドラカメさんのブログで紹介されていた展示に隠された深い意味(トラップ)の記事を読むにつけ、自分の展示がいかに浅い思考のもとに構成されていたかということを思い知ったわけです。 ![]() 特に、観覧に来ていただいたフォトブロガーのおひとりa1photoさんからは今回の展示写真の根底に流れる撮影者としての意思について問われ、すこし考えさせられました。 人間の思考には普段考えている顕在化された意思と、思ってもいないつもりが実は考えていたり、期せずして行動に顕われたりする潜在意識がありますが、自問しているうちに、もしかすると今回の展示の中にもara_umiさんの考え(顕在意識=スケキヨ)だとばかり思っていたものが、実は仮面の下は更にもう一人の自分(潜在意識=青沼静馬?)が入っていて勝手にトラップを仕掛けていたのでは…という気がしてきたのです。 今回のワタシのコーナーの展示は自分でも小さな紹介カードに記したように【Monochrome】【小さな旅】【宇宙の旅】という3部構成になっていて、自分に与えられた狭い展示コーナーの中を複雑な構成にしたことで焦点をボケさせてしまったことは何人かの方に指摘を受けています。 結果として撮影者からのメッセージは分かりにくいものになってしまいましたが、当初首謀者のYoshipassさんから写真展参加のお誘いがあって参加の意志を固めたときから「自分のコーナーは新潟(旧市内)の写真だけで構成する。 そして、自分なりのまなざしで捕らえた新潟を紹介する。」ということだけはコンセプトにしていたのです。 ただし、3つのセクションすべてが新潟だったのですが、新潟の街を知っている人が見る感覚と、知らない人が見る感覚は違ったものになります。 また新潟の街を知っている方でも新潟だと思わないで見てくだされば、それぞれに写真から受けるナニカは違うものにもなってしまうのですが… ![]() 写真展の会場にも置かせていただきましたが、田中長徳さんの写真集に『Wien・New York・Niigata』というものがあります。 ワタシがこの写真集を手に入れたのは1996年頃に遅ればせながらオートフォーカスの一眼レフカメラを購入して何回目かのカメラマイブームに突入した頃だったと思います(写真集をみると1997年8月に新装版発行とあるのでその頃なのでしょう)。 その初めてのAFカメラキヤノン EOS55を購入したカメラのSタケのS武氏が地雷だった(!?)のです(笑)。 当時そこは新潟では数少ないクラシックカメラを扱う店であり、家からも近かったので頻繁に入り浸りはじめ、折からのライカブームでM3と数本のライツのレンズを購入して(買わされた?)それまで写真といえば記録と記念写真しか撮ったことがなかったものが、ライカを買ったのだから街撮りをしなくては… となり、それまであまりしたことのなかった街撮りの火種が燻ることになりました。 しかし、ライカは買ったものの、馴れない街撮りではいきなり鑑賞に堪える画など撮れるはずもなく、駄作の山が少なくないコストの出費とともに机の上に溜まりだした頃に、世はデジタルカメラの時代に代わりつつありました。 2000年にはじめてのデジカメ、ニコン COOLPIX950を手に入れて、フィルムのときからみれば圧倒的に多くの枚数を撮影するようになっていはいましたが、まだ用もないのに写真を撮ることだけを目的に街に出るということはありませんでした。 時は流れて2005年10月、リコーよりかねてからウワサがあったGR DIGITALが発売になりました。 リコーの仕掛けたマーケティングに見事にはまり発売日に購入、ライカではモノにできなかった街撮りに再び挑戦することになったのです。 ![]() 田中長徳さんの写真集『Wien・New York・Niigata』の新潟のシーンは、ワタシが生まれ育った街だったので、ほとんどページが見覚えのある場所だったこともあって、ライカ M3を手に入れたときにその撮影場所のトレースを試み、結果として一度挫折していたのですが、GR DIGITALで一から撮り直しを決意し、それでも1年近くかかって完成させることができました。 それをオンラインアルバム『おいかけて新潟』という名前でweb上に公開していたことが田中長徳先生の知れることとなり、ブログにコメントをいただいたり、その後あるパーティの会場で田中先生とお逢いしたときに「ワタシが『おいかけて新潟』のara_umiです」と名乗のりながら笑談させていただいたりして、晴れて『おいかけて新潟』も田中先生の公認を得ることになったのです。(メイキングの模様は右側の『おいかけて新潟』というタグで時系列に読み取れます) しかし、正直に云うと1997年に『Wien・New York・Niigata』を見たときに「ウィーンやニューヨークのシーンはとてもエキゾチックで美しく撮れているのに、なんで新潟はこんなに殺風景な場所ばかり選んで撮られているのか!? 新潟だけダッサいじゃないの!!(実際ダサいのですが…)」と不満に思ったことも事実でした。 そんな思いも『おいかけて新潟』が完成する頃にはその達成感もあってか不思議と消えていったのですが、田中先生のトレースをしながらそれとは別に自分なりの視点として新潟の街を撮り始めていくことになったのです。 ![]() と云うことで、お気づきになりましたでしょうか(笑)あの会場に田中長徳先生の写真集『Wien・New York・Niigata』がワタシの写真帳『おいかけて新潟』とともに置いておいたのは、表面上はその二つを比較して笑っていただく計画(これは実際にお客さんに説明しながら見比べていただいて笑っていただけたので大成功)の裏に、青沼静馬かはたまた犬神佐兵衛翁が仕組んだトラップ(!?)田中長徳さんの撮ったニイガタに対する新潟モンの撮ったニイガタの対比があったということを!? しかもセクションも3つだ!!! ![]() だいたい、横溝正史の推理小説に出てくる名探偵・金田一耕介は、巧みな推理で最後には真犯人を炙りだしても、犯行がすべて行なわれてからその解説をするわけでして、殺人事件はひとつも防いでいないのですが、今回の推理もそんなものでしょうか…(爆)
by ara_umi
| 2010-08-30 23:24
| ちょっとカメラの話
|
Comments(8)
伺えずに残念でした。
いろいろアイディアマンは仕掛けを作られていたのですね。 私もくだんの写真集は持っておりますが、その追っかけというのは以前から感服しておりました。 次回機会があれば是非拝見させて下さいね。
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思えば、ara_umi さんとお付き合いが始まったのは、
「おいかけて新潟」がきっかけでした。 そして、sa さんが、私のブログに起こしになったのも、ara_umi さんの「おれのほそ道」経由でした。 それから、あれこれ、なんだかんだとありまして(笑)ついにはこんな面倒なことに引きずり込んだしだいです。 しかし、ara_umi さんの展示をはじめ皆さんの展示を拝見するにいたり、 言いだしっぺの私は、ここ何年間かまったく進歩がなく、皆さんのすばらしいプレゼンに轟然と致しました^^; かといって、これからどうしようかと建設的にはほとんど考えていないのですが。 とにかく、とても楽しい6日間でした。次回があるかどうかは別にして、今後ともよろしくお願いします<m(__)m>
yoshipass さん、こんばんは。
↑ で何時になく饒舌に書いていますが、作文ですから真に受けないでください(笑) >次回があるかどうかは… もう、みなさんその気ですね(笑) 社会的(?)にも、道義的(??)にも、引き返せないのでは(笑々) ワタシ的にはフェードアウトしたいのですが…
gr-net さんも書いておられますが、GRD(GR BLOG)の存在は大
きいですね。 ワタシ自身、まちなかに18mm相当の超広角を持ち出すようになると は思ってもみませんでした。ましてや出不精なワタシが新潟へみなさ んのプリントを拝見しにいくなんてことも・・・。 フェードアウトは、もはや倫理的(笑)に不可能でしょう。 今後ともよろしくお願いいたします。
あわ さん、おはようございます。
ブログもきっと世の中には無数にある銀河団のようなものでしょうが、そのなかで 最初GRブログという小銀河の小さな星屑に過ぎなかったこのブログもおかげさま であわさんのところを初めとした星々との交流をさせていただいています。すごいパワーです! >フェードアウト… ワタシは何のために白い仮面をかぶっているのでしょう(笑) 次はあわさんにかぶってもらってara_umiになりすまして、大暴れしてもらうこと もできるのです(笑々)
写真展は1回目より2回目、2回目より3回目。
慣れてくると原点はなんだったか考える。 で、プリントする事の醍醐味が暫く離れたり、 人のを見たりすると再認識できると私は思っています。 トレースは面白かったです。 なるほど、こういう撮り方もあるのだな、と。 十分ara_umiさんの気持ちが入っていたとは思います。 じゃなきゃあんなに撮れません。私なら2-3枚で満足、だもの(笑) 次はどんなのになるのかしら? 7名ブロガー写真展を一発で好きになった今からわくわくしている私がいますです。
saori さん、おはようございます。
自分の思いはナニカ? …顕在的にも潜在的にも 次にその思いが表現できるか! …撮影者として、プリントで、展示方法は 鑑賞者はそこからナニを感じるのか!? 写真展もコミュニケーションのひとつと考えますが、コミュニケーションの妙がここにもありますね。 普段のブロガー活動で刷り込みができていたり、↑ みたいに後から言い訳を作文したりできるのも 普通の写真展とは違う、新しいアプローチでしょうか(笑)
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